株式会社ジズコ

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テレビュー社の新型アイピース ”デライト”___Dennis di Cicco、“Tele Vue’s New DeLite Eyepieces”、Sky & Telescope (Sept. 2015)、64,65


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アイピースのトップメーカーとして世界的名をはせるテレビュー社より新型アイピースが発表されたばかりだが、天文ファンの熱い関心に火をつけることになろう。実際、今年の4月に開催されたNEAF (Northeast Astronomy Forum)では、テレビュー社による新製品発表のサプライズが多くの来場者が注目。標準の1 1/4”接眼部に装着して使うデライトの焦点距離は、7、11、18.2mmの3種類。同社のCEOアル・ナグラーにからは、今後、18.2mmより短い焦点距離のデライトシリーズも発売すると聞く。

デライトアイピースのアイレリーフは20mmに統一され、下グリップリングを指で回すだけで任意の位置にしっかりとロックできるアイガードが備えられている。黒色のバレル部の直径は48mmとあまり大きくない。最近よくみかける極太のアイピースに比べてもスリムな形状は、双眼装置との併用に理想的だ。

広視野観望体験のニュースタンダードを築いてきた最近のテレビューアイピースに比べると、デライトの仕様はひかえめである。見掛け視界が62度のデライトは、57度のラジアンより少し広く、72度のデロスより少し狭い。たしかに、デライトの仕様を紙上でみるだけなら、テレビュー社の名前と、同社のプルーセルアイピースは別として、比較的安価な価格以外には目がとまらないかもしれない。

しかしながら、デライトの真価は覗いてみなければわからない。以下、NEAFで借用したデライトのレビューを紹介しよう。レビューに使った望遠鏡は、以前ビッグパラコアのレビューに使った口径30cm F4のニュートン鏡筒、口径30cm F5のドブソニアン、口径10cm F5.4 APO屈折望遠鏡、口径15cm F9のクラッシックなニュートニアンの4機種である。

テレビューアイピースにはいつも期待してしまうが、デライトの見え味はすばらしい。視野周辺までピンポイントに結ぶ星像、最も明るい恒星のまわりにさえ偽色が皆無、気づいたのはわずかな糸巻き形の歪だけである。視野を見ながしても、丸い対象が楕円に伸びことはない。日中の見え方はコントラストが高く、青空を背景にした電線のようにコントラストの高い対象の端を見ても色のにじみがない。

いずれの高品質なアイピースにみてとれる特徴だが、デロスの場合、このレベルにとどまらない。以前、テレビューデロスで体感したものをデライトにもみてとれた。デライトはとても覗きやすい。自分の眼球をアイピースにピッタリ合せなければならない、というわずらわしさがない。このことは、「デライトは、デロスを、小さく、安く、軽量に設計したアイピース」ということを事前に聞いていた私には何の違和感もない。英文名も、“Delos”の最後の3文字を“lite”にした。

最近、天文ファンは所有する望遠鏡のことよりも、所有するアイピースにより関心を持つ傾向にある。私自身、お気に入りのアイピースを何本も所有する。今日のすばらしい広角アイピースには確かに驚きを覚えるが、私の場合、月、惑星、恒星系、ディープスカイ天体は自動追尾式の架台に望遠鏡を搭載し、中倍率から高倍率で観望することがほとんどである。実際、視界のそれほど広くないアイピースを数多く所有する。そこで、最新のプレミアム超広角アイピース1台分の予算以下で、62度の見掛け視界で妥協なき見え味を提供してくれるデロスをフルセットで揃えてみる価値もある。

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