株式会社ジズコ

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テレビュー社のイーソスアイピース___Vic Menard、Astronomy Technology Today (April 2008)


今度さらに広い見掛視界のアイピースを出すときは、テレビュー社にはバックミラーを付けてもらいたいね!

自らテレビュー社のナグラーやパラコアの唱道者である私は、イーソスを、現代のF値の小さなニュートンと組み合わせたとき、他のアイピースではまねのできないシナジー効果、すなわち、光学性能の向上をみる。
はじめてナグラーアイピースを購入したのが1987年のテキサススターパーティでのこと。オリジナルのナグラー13mmにより、私がそれまで抱いていた広角アイピースの概念は完全に覆された。その2年後、同じテキサススターパーティでは、トム・クラークといっしょに初期のパラコアをためしたが、私の口径490mm F5、トムの613mm F5のドブソニアンではいまひとつ決定的な効果はみいだせない。それか10年後、当時の490mmを売却し、スターマスターの539mm F4を手に入れ、最新のパラコアとナグラー5_31mmとの組み合わせで、究極の「リッチェストフィールド」を堪能する。
この何年かで、私のオリジナルナグラーやナグラータイプ2は、タイプ5とタイプ6に入れ替わり、スターマスター539mmもスターストラクチャー539mmに代わった。そして、2007年4月、Northeast Astronomy Forumでなにやらスペシャルなアイテムが発売されるといううわさを聞く。4月28日、見掛視界100度のイーソス13mmが発表されることになるが、またしても、あの「テレビュー社」から。
同年6月にはテキサススターパーティやRTMCからのフィールドレポートがあがり、数日後には、クラウディナイトのオンライン会議室でレビューを拝見。その後、イーソスの市場価格が決まり、米国中の選ばれし「テスター」達がイーソスを評価。そして、スカイ・アンド・テレスコープ誌はイーソスの光学性能にファイブスター「知覚的に完璧。意味ある改善の余地がない」の称号を与える。そのときはまだイーソスをのぞいてない私だったが、すでに手に入れることを決めていた!
10月10日から14日まで、PSSG(ピーチ・ステート・スター・ゲイズ)に参加。初イベントが、アトランタ州東約90マイルにあるデーリック・アストロノミー・ビレッジで開催。その日はすばらしい夜空に恵まれる。だれかがイーソスを持ってくるといううわさを耳にした私は、ほんの数分でもいいから「イーソスタイム」を体験できないかとその当人を探す。幸い、イーソスオーナーのジョンとクーエンは、私が買ったばかりの口径539mmスターストラクチャードブソニアンに興味を示し、いっしょに何時間も観望を楽しむ。さらによかったのは、双眼装置ファンの両人はイーソスを2本も手に入れていたことだ。みんな疲れ果てるまでイーソスの双眼視に没頭。最も印象に残ったのがM57。ほんとうに自分自身がその星雲のなかに浮遊している感覚、望遠鏡の存在すらすっかり忘れてしまう!帰宅するとすぐにイーソスを注文。少し早いが妻からのクリスマスプレゼントだ。実際はクリスマスに間に合わなかったが、ウインター・スター・パーティの前に入手できだ。
2008年のウインター・スター・パーティでは、地元の天文クラブの一員、ジョンといっしょに過ごす。彼は先のPSSGでも会っているが、私同様、すぐにイーソスを注文していた。PSSGでのイーソス体験を再現したかった二人はマイク・ハービィの口径686mmスターストラクチャーに近づき、すぐにビデオを取り外して、自分たちの所有するイーソス2本を双眼装置につけてみることを促す。この「歴史的体験」を経た私は、この記事を書くことになる。その後、シャーロットの天文クラブの仲間とも、私の口径539mmスターストラクチャーを介し、こんどは単眼ですばらしい夜空を満喫。散光星雲(NGC2467、2359)、銀河(NGC3115、4565、4631、5128、M51、M83)、球状星団(M5、M13、M92、ケンタウルス座オメガ星団)、惑星状星雲(NGC2437、2440、3132、3242)、散開星団の数々、炭素星やカラー二重星を数個、もちろん、土星も見逃すわけにはいかない。ただし、ここウインター・スター・パーティでは、よりシャープネスを追求するため、ナグラー6_7mmで370xの土星を楽しむ。今年の4月に開催されるCAAC主催のサザン・スター・パーティでも、イーソスが話題になることは必至だ。 こんどは、私自身の「イーソスタイム」を振り返りながら、個人的な観測体験をいくつか述べてみよう。
イーソスについてはあまりにもエモーショナルな表現をしてきたので、より冷静かつ、客観的にコメントする必要があるが、正直言ってその自信はない。イーソスの見掛視界100度と、驚くべきヌケのよさ、ピンポイントに結ぶ星像があいまってもたらす、そこに引き込まれるような体験は、望遠鏡にIMAXを突っ込んだようなもの。簡単にいえば、比較するものがない。実際にのぞいてみないと、その違いはとても想像できない。アル・ナグラーはそれを「マジェスティ係数」と称し、私は「テレビュー・アドバンテージ」と呼びたいが、時が経つにつれ評価は高まるばかりだ。
次に、イーソスのアイレリーフ(15mm)と、視野全域を見ることができるかどうかについて述べたい。PSSG(ピーチ・ステート・スター・ゲイズ)でイーソスを最初に体験したときは、ナグラーの見掛視界である82度くらいから先はまだ覗けていなかった。ところが、瞳の位置を完全に合わせたとき、イーソスの視野終端でシャープに結像する星をはっきりと確認する。いままで、自分の望遠鏡の視野の一部しか見ていなかったことが分かる。さらに、視野全域で星像がみごとに分解しているため、十分な詳細を視野全域でくまなく厳しい目で評価することができる。ウインター・スター・パーティでは、マイクといっしょに、ナグラー20mmとイーソス13mmを比較してみて驚いたことがある。両者の実視界は0.1度しか差がないのに、イーソスの倍率は2倍だ! 詳細とコントラストの向上は明らか、マイクと私はそのすごさの前に圧倒された。 最後に、イーソスを2本手にいれて双眼装置で楽しむこともできる。あまり明るくない対象を観るとき、口径をできるだけ大きくして双眼視を試してみたい。私の539mmの場合、光がまるで望遠鏡からあふれ出ているよう。マイクの686mmなら、イーソス+双眼装置のコンビネーションをさらに余裕で楽しめる。ここでひとつ「警告」しておきたいことがある。この双眼+イーソス体験は、視野周辺が既存の領域を超えどんどん広がり、本当に望遠鏡が消えてなくなるような感覚に陥ってしまう。いちどみたら絶対に手放せなくなる。忘れえぬ体験となろう!

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