株式会社ジズコ

株式会社ジズコ

望遠鏡の公式と神話


望遠鏡とアイピースの基本公式

倍率

= 対物の焦点距離 ÷ アイピースの焦点距離、または

= 対物の直径 ÷ 射出瞳径

F値

= 対物の焦点距離 ÷ 対物の直径

視野角

= アイピースの視野絞り径 ÷ 対物の焦点距離

射出瞳径

= 対物の直径 ÷ 倍率、または

= アイピースの焦点距離 ÷ 対物のF値

ドーズ・リミット

= 11.6秒 ÷ 対物の直径(センチ)

集光力
= (対物の直径 ÷ 瞳の直径)2

望遠鏡にまつわる神話 - アマチュアの天文の世界では長いあいだ多くの神話(誤解と申し上げてもいいでしょう)がはびこってきました。次に望遠鏡の倍率に関する神話をいくつかとりあげてみますが、その多くはすでに本編で詳しく解説されています。

神話その 1 有効最低倍率は射出瞳径 7mmで定義できる?
まちがっています。屈折望遠鏡の場合、有効射出瞳径の大きさに上限はありません。対象全体をとらえるのに必要な視野を確保できだけの倍率で見てください。反射望遠鏡の低倍率の下限は、射出瞳の黒点(副鏡の影)がじゃまになり始めるときの倍率です。目の瞳径と同じ 7mmの射出瞳径なら星雲・星団など遥か彼方の対象を最も明るくとらえることができますが、それが最良の像とはかぎりません。射出瞳径が7mmより小さくても、倍率を上げることでより詳細が見えるようになり、コントラストを確保しながらも、より淡い星をとらることができるようになります。さらに、目自体の欠陥も補われるのです。
神話その 2 射出瞳径が 7mmより大きくなると光量と分解能が無駄になる?
屈折望遠鏡では、射出瞳径が 7mmより大きくなると口径がむだになります。しかしながら、倍率が低いので口径のむだになった部分はほとんど影響しません。映像の明るさと分解能の両方がその倍率でのベストの状態で観測することができるということです。一方、反射望遠鏡では射出瞳径が 7mmより大きくなると光がむだになります。しかし、これは射出瞳径の中の副鏡の影が大きくなるからです。反射望遠鏡では光がロスし視野に副鏡の影が出てきますが、これも屈折望遠鏡と同様に低倍率のため分解能の劣化はありません。
神話その 3 F値の小さな望遠鏡の像の方が明るい?
写真撮影からきた誤解です。写真撮影ではF値が小さいほど像が明るくなり、面積を持つ対象の露光時間が短くなります。目で見る場合、対物レンズのF値に関係なく、口径と倍率が同じなら像の明るさは同じです。
神話その 4 長焦点望遠鏡の方がコントラストが高い?
一般的な話ですが、ミラーコートの性質上、光は散乱しやすくなるので、コントラストについて言えば、屈折望遠鏡は潜在的に反射望遠鏡に優っています。しかしながら、諸収差のよく補正された高性能屈折望遠鏡どうしを比較した場合、F値が大きくなってもコントラストに差はありません。反射望遠鏡も同じことで、高性能反射望遠鏡で副鏡の直径が同じであれば、F値に関係なく、同一倍率でのコントラストに差はありません。
神話その 5 有効最高倍率は口径1センチにつき20x?
この「有効」には、どんな意味があるのでしょうか。大気のシーイングの影響をあまり受けることのない小口径望遠鏡は、口径 1センチにつき 40xまで快適な観測ができますが、口径 1センチにつき 20xを超えたところから、細部の見えがそれ以上よくなることはありません。また、シーイングの影響を受けやすい大口径望遠鏡では、口径 1センチあたりの倍率上限は 8xから 12xになるでしょう。経験上、7.5から10センチの屈折望遠鏡は 200xでその実力を発揮します。しかしながら、どんな望遠鏡でも、倍率をその 2〜3倍に上げてみてもメリットはほとんどありません。
神話その 6 バローレンズは像質を低下させる?
バローレンズが屈折率の低いガラスしか使っていなかったり、近代的なアイピースに対応できるように設計されていなければ、この神話が必ずしも間違だとは言えません。近代的な設計で、屈折率の高いガラスを使用したバローレンズは、視野周辺の非点収差を軽減させアイピースの性能を向上させます。バローレンズを使用することで対物光学系の実効 F値は上がり、アイレリーフをより長くとれる長焦点距離アイピースが使え、なおかつ高倍率の観測が楽しめるようになります。

(株)ジズコ

東京都渋谷区恵比寿4-4-2 クレスト恵比寿1101
〒150-0013 Tel 03-5789-2631 Fax 03-5789-2632
e-mail sales@tvj.co.jp
このサイトに対するご意見ご感想をお待ちしています