株式会社ジズコ

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パーフェクトな望遠鏡_米国天文雑誌 Amateur Telescope Making Journal


私にとってパーフェクトな望遠鏡は...小型のアポクロマート屈折望遠鏡でした

まだ若いころ故郷の街で一番大きな望遠鏡を造ったことがあります。そのころ8インチ(20センチ)といえばとてつもない大口径で、私の仲間で見た人はいませんでした。40歳になるまで、4インチ(10センチ)から12.5インチ(32センチ)まで、友達や子供達のためにいろいろな口径の望遠鏡を製作してきました。当時、12.5インチは大望遠鏡の部類で、そうした望遠鏡を所有することがひとつの栄誉でした。

私は今年の6月で73歳になります。これまで天体観測に費やしたのと同じくらいの時間を、望遠鏡の組み立てやコンサルティングなどに使ってきました。望遠鏡造りから離れはや数十年、今ではガラスの研磨やテストに長い時間をかける気力がすっかりなくなりました。ただ、天候が許すかぎり天体観測を楽しみたい気持ちは残っています。

いま、身の回りの所有パーツを見渡すと、10インチ(25センチ)の鏡筒、ミラー、そして12.5インチ鏡筒用の接眼部がありました。ただし、細部のパーツはありません。私がまた望遠鏡の組み立てに意欲を駆られたことをお察しください。ただ、厄介なことに、いずれのパーツも思ったより重量があります。それぞれ、性能の高いパーツばかりですが、時間、費用、労力のことを考えると、今の自分にはできそうもありません。 天文雑誌に掲載されたアポクロマート屈折望遠鏡の広告に注目し始めたのもそのころです。「アポクロマート」という用語は何度も耳にしてきましたがその内容についてはほとんど無知で、どうせメーカー側の売り込み手口だろうくらいにしか考えてなかったのです。そこへ友人に中古の「テレビュー・ジェネシス *」を紹介され、その日の夕方に店頭まで足を運びきました。店にはジェネシスを搭載する三脚がなく性能をチェックできませんでしたが、友人の熱心な薦めで購入を決め家に持ち帰りました。 暇を見つけ自宅の作業場に行き、ジェネシスを手持ちの三脚に搭載するための加工を済ませ、観測のタイミングを待ちました。クリアーな空に恵まれた夜ジェネシス持ち出したとき、屋内でのサイズがまったく想像できないくらいにコンパクトに見えるのは驚きです。20年間以上も使い続けてきた10インチ(25センチ)で観たどの空よりもクリアーに見える。都市近郊に住んでいたため、何年も真剣に観測していなかったからでしょうか。

結局、多くの点でこの小さな望遠鏡に満足しています。少年のころの小型屈折望遠鏡に比べてもジェネシスは携帯性、超広視界、コントラストの点で遥かに優れています。メガネを掛けたままでも簡単に使いこなせ、組立と撤収がまたたく間にできる望遠鏡です。

この望遠鏡を生涯所有していこうと決めた決定的な理由があります。私には44年間連れ添った大切な妻がいます。妻はいつも大口径望遠鏡の巨大な図体に嫌気をさし、私といっしょに観望に出かけることはありませんでした。ジェネシスを手に入れた今、セットアップすればいつも一緒に観望を楽しみ、話もはずんで時間がたつのを忘れてしまいます。

これはアマチュア好みのテクニカルな内容について書いた手紙ではありませんが、ジェネシスが私にとって最高の望遠鏡であることに間違いはありません。私の経験が天体観測を楽しむ方々のお役に立てば幸いです。


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