テレビュートップ


・・・100億光年の彼方からやってくる創世記の宇宙の光、
探査衛星や宇宙望遠鏡が捕らえる極彩色の惑星や深宇宙。
現実のものとは思えない、驚異、神秘、混沌、そして美しい世界を知ったとき、
誰しも天体望遠鏡を持ってその世界を垣間見たくなるに違いありません。

もちろん、私たちの望遠鏡では
ほとんどの場合、そうした真実を微塵も見ることはできません。
けれども、天体望遠鏡を通してあなたの網膜に当たる光は
まぎれもなく広大な宇宙空間を旅してきた光そのものです。

天体望遠鏡はあなたの視力をすこし良くするだけですが、
あなたの好奇心、想像力を無限大に拡大することができます。

さあ! 天体望遠鏡で宇宙からのメッセージを聞き取りましょう。


STEP 1
STEP 1 では、初めて天体望遠鏡を持とうと思い立ったキャリアの浅い方を対象に、選ぶポイントを列記します。望遠鏡の参考書?を参照すれば至れり尽くせりの堅実な解説が蕩々と述べられているでしょうから、暇と余裕のある方はそちらも併せて参考にしてください。

1. 天体望遠鏡は使わない時間が長い
まず、「望遠鏡は使わない時間の方が長い」と言うことを最初に頭に入れてください。そして、使わないときに収納するスペースを考えて(決めて)ください。それに見合った大きさの望遠鏡が選択肢になります。スペースに限界がある場合、実際の望遠鏡の寸法を測ってみることをおすすめします(そのためにもショップがあります)。押入の中や、物置などに収納スペースをお考えの方は、そのまま「お蔵入り」の無いように注意してくださいね。もちろん、据え付けるスペースに制限がなければ、望遠鏡の大きさの制約もなくなるわけです。もちろん、置く場所がなければ使う場所もない「使えない望遠鏡」になってしまいます。

はじめて望遠鏡を入手しようとする方々に対して、望遠鏡ショップや、望遠鏡所有経験の長い天文ファンの方々がよく「何を見るのか?」「何処で望遠鏡を使うのか?」と反問しますが、はじめての人にはちょっと酷な質問だと思います。 もちろん、望遠鏡選択の正しい指針を示すという意味では親切な問いかけですが、はじめての望遠鏡に目的を決める必要はありませんし、また、自宅(近所)で使えなければ最初の望遠鏡として無意味に近いと考えます。


2. 天体望遠鏡っていくら位するの?

まず、インターネットの天体望遠鏡販売店やメーカーのサイト、また、天文雑誌の広告などを参照してください。そして望遠鏡ショップへ行って実際の製品を見ながら調べられればベスト。そして準備できる予算を決めましょう。調べていくうちに価格帯による望遠鏡のスタイルの違いなども判ってきます(これは後の方で役に立ちます)。ひとこと「あなたの立てた予算よりもうちょっと(倍とはいいませんが)頑張りましょう」と、あえて申しあげます。もちろん予算に糸目を付けないのであれば、上の条件をクリアできる範囲で(大きなものも)すべて選択対象になりますね。

メイド・イン・チャイナの望遠鏡が大量に流通する時代になり、中級機が入門機の価格で買える時代になりました。でも、望遠鏡の価格は、家具や電化製品などにくらべて安いものではありません。そのため、意図した予算よりすこし奮発した方が後で後悔しないかもしれません。口径の割りに高額な望遠鏡が存在する理由は、まず、高精度な光学系のコストが高いことが挙げられます。そして、高額望遠鏡は大量生産品ではないのも理由のひとつです。また、望遠鏡のどこにコストがかかっているか見極めるのは(特に初めての人には)難しいことです。同じ口径、同じ光学系の望遠鏡であれば、価格が高い方が光学系にコストをかけている(性能がよい)と一般的には言えるでしょう。

3. 天体望遠鏡はいろんな格好してるけど?

まったくはじめての方には「こういうもの」でしょうが、ブランクののち復活した方には「なんじゃこりゃ」って言うくらい、多種多様な望遠鏡がカタログをにぎわしています。それぞれの特徴は、ショップで聞いたり見たり、インターネットで情報を集めたりすることで、抽象的ながら判ってくることでしょう。長いのや短いの、太いものや細いもの、レンズが先端にあるもの、無いもの・・などなど。でも、すべては「天体望遠鏡」ですから、上記の1.と2. の目的に叶うものならどれを選んでも間違いはないはずです。実際に製品に触れ、自分の感性(これが好き。気に入った!)を頼りに選ぶのも、趣味だから当然あり得えます。

「初心者は屈折望遠鏡を選ぶ方がよい」とは、昔から定説になっています。調整箇所が少なくメンテナンスも楽で、観望時に目標と正対する位置に立てる屈折は、初心者でも使いこなしやすいのは事実です。でも、この説は、アマチュア向け天体望遠鏡が「ニュートン式反射望遠鏡」と「屈折望遠鏡」しか無かった時代にできた二者択一です。天体望遠鏡のスタイルが多様化した今では、もはや説得力に陰りが見えてきています。


4. カタログや広告の宣伝文句は信じて良いの?

マスメディアでは誇大広告の規制が厳しくなっていますが、マーケットの小さい天体望遠鏡の業界でもチェックは入ってるのでしょうか? まっ、口径などのスペックを意図的に偽っていない限り、宣伝文句を鵜呑みにしましょう。そして、選択の対象外であっても全商品の宣伝文句をチェックしましょう。そうすることで、そのメーカーのポリシーのようなものが判るかもしれません。カタログ情報から興味対象の望遠鏡だけを掘り下げようとする(もちろん意味のあることです)より、こちらの方が大切だと思いますね。

自社の商品を悪く書くカタログなんてありませんからねぇ。高価な望遠鏡でも安価な望遠鏡でも、同じようにメリットを強調しているカタログも普通ですが、これは不思議なことではありません。それぞれの望遠鏡の購入者層のレベルを念頭に置いているからです。でも、なんか、おちょくられているような気がしますね(こちらが言うのも変ですが・・・)。


5. 赤道儀か? 経緯台か?はたまた自動導入のマウントか?

どのタイプを選んでも使い慣れてしまえばいいのです。使い続けるためのモチベーションを保つことがなにより大切です。赤道儀、経緯台の区別無く、現代の主流は、自動導入式のマウントを持った望遠鏡です。PCとつないで星空案内ソフトウエアを利用して自動導入観望もできるので、天文知識を頭に詰め込む必要なしに、見ごたえのある天体の観望が簡単にできるのです。モチベーションを保つ最高の望遠鏡と思えませんか? 夜空にでたらめに望遠鏡を向けても「ただの星」が見えるだけで、ぜんぜん感動できません。これでは望遠鏡は近々にお蔵入りです。なお、星雲星団の撮影もやってみたいなら、最初から自動導入赤道儀の望遠鏡がおすすめです。

自動導入装置付き望遠鏡は電気製品の意味合いが強く、将来に渡るメンテナンスに不安が残るのは事実です。ただし、生産国に区別無く、充分な基本性能を持った製品が流通しているので、デメリットを認識しつつも、その高機能をより大きなメリットと評価するべきではないでしょうか。天文知識に不安をおもちなら、なおさらです。また、手動式の経緯台に乗った望遠鏡も入門機に多く、予算を抑えるなら、選択の第一候補になるでしょう。


6. 極限等級や集光力、そして分解能ってなに?

望遠鏡の口径(対物レンズや対物鏡の直径)が同じなら、これらの数字は同じ値を示します。端的に言って、口径が大きいほど望遠鏡の絶対的な性能は上がるってことです。でも、1. 2. の項目で使える望遠鏡がだいたい決まっちゃうので、望遠鏡の性能は自分で使って確かめればいいのです。スペックに現れた数字だけで具体的な性能(見え方)が判断できる訳でもなく、メーカーが慣用的に口径に見合った数値を列記しているに過ぎないと思った方がいいですね。

近頃の天体望遠鏡は、「月のクレーターも見えない!(実体験)」ような非常な粗悪品はさすがに無くなってきていると思います。でも、ローエンドは未だに天体望遠鏡とは名ばかりで、「光学製品ではなく玩具」ですから、1万円を切るような安価なものは避けたほうが無難です。ちなみに、30万円の天体望遠鏡と2万円の天体望遠鏡を比べ、同じ口径なら集光力、分解能とも同じ数字でカタログに提示されるのです。それでもこの数字に拘りますか?


7. 100倍の望遠鏡より300倍のほうがいいよね?

通信販売で買える双眼鏡でも、100倍を超えるのはあたりまえの時代ですから、天体望遠鏡で100倍じゃぁ魅力がないかもしれませんね。でも、倍率300倍は、ほとんどの天体望遠鏡で出せるのです。接眼レンズ(覗く側のレンズ)とバローレンズ(凹レンズが先端に付いた筒)を、あとから買い足せばOK。だから、100倍と300倍の望遠鏡が同じくらいの値段だったら、迷わず100倍の(倍率の低い)天体望遠鏡を選びましょう。そして、ちょっと使ってみてから(ここが大事)、さあ!お望みの高倍率(500倍?!)が出せる接眼レンズとバローレンズを買いに行きましょう(^^)。もちろん、本当にこの倍率で見たかったらね・・・。

ピント(一番はっきり見えるところ)さえ合わすことができれば、高い倍率で見える像は迫力があるものです。月のクレーターや、日中の景色など、どんな望遠鏡で見ても「おおっ!」でしょうね。でも、視野がブルブル震えてません? 視野がふるえてピント合わせができますか? ほんとにピントが合っていますか?せっかく入った月がすぐどっかいっちゃいませんか? まっ、すべて「否」と言い切れる方だけ「ようこそ超高倍率の世界へ!(これは皮肉です)」。

8. ドローチューブとか接眼レンズ、ダイヤゴナルって何のこと?

望遠鏡の各部分は専門的な用語ですから、初めての方には全然なじめませんね。無理に覚える必要はありません。使ってるうちに自然に覚えちゃうものです。また、用語なんか知らなくても望遠鏡を操作できればそれで良いんです。趣味で時間を使うのですから、受験単語の丸暗記みたいな時間を使うのはもったいないです。もちろん、覚えたいっていう方は、どうぞ!(文面通りです。他意はございません)。

やっぱり最初に選ぶ天体望遠鏡には取扱説明書が付いてなくちゃ! それも図解入りで見て判るものがベスト。大切なポイントですから、説明書のチェックも忘れずにね。望遠鏡一般についてのガイドブックが何冊か市販されていますが、あくまで概論書ですので、個々の望遠鏡操作に具体的なアドバイスをしてくれるものではないです。

9. で、なにを見たらいいの?

失明の危険を伴う太陽や、公序良俗に反するもの以外は、何でも見てください。天体望遠鏡は夜使うものと一般には信じられていますが、いきなり闇夜で取り出しても、組み立てに手間取ったり、「接眼レンズどこ?」、「三脚に躓いちゃった!」が関の山です。あるいは事故につながったりしてはシャレにもなりません。明るいところで使うのは意味のあることなのです。さて、雨が降ったら軒先の雨だれを見て、鳥が来ればバードウォッチング。月が出れば当然月見。太陽が出れば・・・これは危険ですから絶対に止めてくださいね。どんどん使えば、しぜんと望遠鏡の操作に慣れます。気の利いた取扱説明書や天文月刊誌、インターネットの天文情報サイトには、星見のヒントが載っているはず。まずはそこからスタート。肉眼で星座の形が判るなら星座早見盤が便利。そして、星座を覚えるようになったらいよいよ観望ガイドブックの登場です。もちろん、ここまで時間がかかる道のりです。飽きないで続けられるかな?

天体の導入に不安があるのは誰しも一緒。ベテランと呼ばれる方でさえ、それほど得意でない方が多いのです。というわけで、最初から導入装置付きを検討するのもおすすめ。また、「努力して天体を導入することに感動がある」のも事実ですので、いろいろ試して経験を積む以外ありません。観望に上達の近道はなく、費やした時間に比例して天体と親しくなることができるようになります。

7. では、どんな望遠鏡を選べばいいの?

「あなたが"欲しい"と思った望遠鏡(事前に実物に触れることができればGood!。最低限カタログで検討を!)を、出せる予算の範囲から選んでください。もちろん、置く場所も、見る場所もあることを、しっかりと確認のうえでね。」