あなたのテレビュー鏡筒で歴史を作る!



 ドン・ブランズ博士はTele Vue-NP101isを活用し、たった2分半で歴史を残す。2017に全米を横断した皆既日食のもと、アインシュタインの予測「1.75秒を、太陽単位で出した太陽からの距離で割ることで求める値“1.75秒”」を、最高の光学精度で測定しようとする。「私の実験閣下は極めて良好、“1.7512秒”と、理論値に少数位を加えた精度で算出できた。撮影した皆既日食の画像を慎重に解析した結果、偏向定数を最終的に“1.7512秒”まで追い込んだ。パーフェクトな皆既日食にふさわしいパーフェクトな実験結果だ!」 

 歴史的科学実験から、家族で分かち合う想いでまで、テレビュー社のAPO鏡筒が十分な性能を発揮できる証です。あなたの家宝にふさわしい鏡筒をテレビュー社より。


2018年8月スカイニュース...“皆既日食のパーフェクトな実験” ドン・ブランズ著

 20の恒星 著者ドナルド・ブランズは、太陽のコロナが発する光を減算することで恒星を可視化(表題の画像)。ブランズは最終的な解析で20の恒星(本画像には19のみ)を用い、太陽に最も近い2つの恒星を0.09秒の露出で捉えた。恒星のペアは太陽の外縁にきわめて近いため、この配置は2,252年まで起こらない。

 2017年8月、ブランズは、20世紀前半のイギリスにアインシュタインの一般相対性理論を紹介した著名な天体物理学者エディントンの理論検証の再現を試み、驚くべき成功を収めた。

 2016年8月号のSky & Telescope誌では、合衆国本土横断皆既日食のときに、恒星の重力偏向を測定する機材を用意していることを紹介。そのチャンスを求めてワイオミングに足をはこび、パーフェクトな条件の下、驚くべき精度で結果を出すことができた。

 サー・アーサー・エディントンが1919年の皆既日食を観るために2度の遠征をして以来のことだが、私の実験は天候や機材の問題もなく、計画通りに遂行できた。新しい科学的結果が出るわけではないが、100年が経過した今、困難が伴うこの実験を再現できたことは、私自身の素晴らしい体験である。

 アインシュタインの一般相対性理論によれば、質量が時空をワープし、我々が感じる重力を生成する。このゆがんだ時空の領域は、質量のない光子が通過する経路を曲げる。重力の影響により、太陽に極めて近い恒星の位置は、同じ恒星が太陽に近くないときの位置とわずかに異なって見える。もちろん、太陽は非常に明るいため、普段はこの物理現象を確認することができないが、皆既日食がパーフェクトなチャンスを提供してくれる。

 1973年以来この実験が行われていないことを知った私は、皆既日食の2年前から準備にとりかかる。当時の実験はまだ光学ガラスで行われていたので、現在の技術をもってすればより簡単に実験できると考えていたが、現実はそう甘くはなかった。確かに、今日の恒星カタログがあれば恒星の正確な位置について心配する必要はないし、実験機材をワイオミング州のキャスパーメトロポリタン統計地域に車で運べるが、適切な露出時間の算出と、良好な天候に恵まれることが必要。また、皆既日食が続くのは148秒間だけ、土壇場の失敗は許されない。


▲光の角度 − アインシュタインの一般相対性理論の予測どおり、太陽の重力により、太陽の端に位置する恒星の見かけ上の位置はわずれる。


ビッグイベント当日: 皆既日食の朝、準備を進める著者(左)。三脚は、スティーブ・ラングが皆既日食を記念に、太陽、内部コロナ、恒星をモザイクにしたコンクリート板にボルトで固定。右は、皆既日食を観ようとライオンズキャンプに集まったグループ。

 この実験のために、メーカー各社が、Tele Vue社製 NP-101isアポクロマート屈折望遠鏡、Finger Lakes社製ML-8051 CCDカメラ、Bisque社製MyT Paramount赤道儀を貸してくれた。皆既日食の一週間前、従妹のスティーブ・ラングに手伝ってもらい、高度が高いこと、晴天が見込めることを求め、キャスパー近くのライオンズキャンプに機材をセットアップ。皆既日食当日、ライオンズキャンプは、英国からラトビア、ニューヨークからテキサスと、世界中からビジターを迎える。皆既日食をみんなで心置きなく楽しみ、日食後もいっしょに祝った。


実験の成功

この実験の成功の鍵は事前に計画し練習することだが、天文愛好家のみなさんが「つかの間の現象」を撮影しようとするとき同じことだ。皆既日食で暗くなったときの電源確認や、三脚をボルトで固定して機材位置がズレないようにするなど、事前にできることはすべて行う。機材は木々に囲まれた草原に設置したので、風による影響は全くない。「ソーラーフィルタを外すこと」など、詳細なチェックリストを確認。皆既日食まで続く興奮のなか、どんな「うっかりミス」も避けたいところだ。

皆既日食の二日前には、極軸合せを適正に済ませ、いくつも測定画像を撮る。望遠鏡とカメラのセットアップの周りにはわずかなガードフェンスを囲み、四日間放置。みんな私の実験のことを知り、セットアップには触れないでいてくれた。キャンプ周辺には早々と他の機材もセットアップされていたが、問題は起こっていない。

皆既日食当日は、温度、気圧、湿度を記録するウェザーステーションを設置できたので、大気差を補正することもできた。実験中にかけた露出毎にチャイムで知らせるソフトもある。数秒ごとにチャイムが心地よく響き、家族や友人たちとスペクタクル楽しむことができた。

サンディエゴの自宅に戻り、詳細な画像処理を始める。私が望む以上の恒星がすべて確認できた。予定より早く解析を始め、最新ソフトの助けを借りながら、すべてを数か月で完了。ソフトはMaxIm DLとAstrometricaを使い、良好なシグナルを示し、コロナや近隣の恒星の影響を受けない恒星だけをまとめ、恒星の正確な位置を測定。いずれのソフトも演算方法が異なるが、自分の好みを差しはさむ合理的な理由もないので、それぞれの結果を平均化。このやりかたで、驚くべき精度で結果を得ることができた。

解析精度を上げるため、短い皆既日食で撮ったキャリブレーション画像を使う。そのため、重力偏向がない、太陽から約7度離れたところに望遠鏡を向ける。自動スクリプト制御による赤道儀なので、太陽の両側のキャリブレーション画像を撮ることができた。キャリブレーションが十分に行えたため、前回の皆既日食遠征で生じた問題を発見。一部、手動セットアップに伴う時間的問題があったが、現代技術がこれを簡単に解決してくれた。

真実の瞬間

相対性理論の数学によれば、太陽の重力による偏向は、太陽の中心から離れるほど減少するが、1.7512秒角を太陽の半径で割ることで求められる。しかしながら、これまで測定し変更た偏向定数はいずれも満足できるものではなく、前回の皆既日食では1.2〜2.7秒角、平均が1.9秒角である。

私の皆既日食画像を注意深く解析したところ、偏向定数をちょうど1.7512秒角で測定できた。パーフェクトな皆既日食にふさわしい、パーフェクトな結論!

 私の測定値がたまたま正しい値になったとしても、私の不確実性は約3%。それでも、かつてない最高の精度で測定できたことは賛美に値する。この測定結果は、4月12日発刊のClassical and Quantum Gravityにで、より詳細なテクニカル書式で見ることができる。

偶然にも、恒星が放つ光の重力偏向をかつてない最高レベルで光学測定された結果が、LIGOが2つの中性子星の衝突から検出した4日後に発表される(S&T誌2018年2月号、32頁)。この2つの驚異的事象は、相対性理論の方程式によって数十年前に予測されている。やはり、2017年の8月はアインシュタインにとってすばらしい月だった。 ドナルド・バーンズ:引退した物理学者名であり、有名なエディントンの実験を注意深く再現したことで、アメリカ天文学会の2018年チャンブリス素人功労賞を受賞。 今後の10年で、持続時間の長い最高の皆既日食に4度遭遇する。 2019年7月2日(4分33秒)、南アフリカ 2024年4月8日(4分28秒)、北アメリカ 2027年8月2日(6分23秒)、アフリカ 2028年7月22日(5分10秒)、オーストリア、ニュージーランド 天文愛好家のみなさんも、この機会に各々の科学イベントを企て、エキサイティングなときをともに体験できますように!

偏向角: 著者は1973年に収集されたデータ(黄色の点)と、2017年に収集した自分のデータ(青色の点)を使い、偏向角が位置とどのように変わるのかを算出。太陽の縁から離れた恒星の見かけ上の位置は、太陽の近くにある恒星よりも偏向が少なく、相対性理論でこの関係性を示す定数は1.7512。著者のデータは、アインシュタインの予測とほぼ完ぺきに一致する。