新型パラコアタイプ2を使う
パラコアタイプ2を数か月前に入手した私は、驚くべきスターストラクチャー望遠鏡を製作したマイク・ザミットとともに、F値の小さな大口径望遠鏡を何台も広範にテストした。記事を書いている途中だが、新しいパラコアタイプ2は、イーソスアイピースにも勝るとも劣らないくらい、観望を劇的に進化させた立役者というのが私の結論である。
このテストでは、個人の視力が、望遠鏡に装着したアイピースの性能にどれだけ影響するかが判った。フロリダ州チーフランドにあるチーフランド・アストロノミー・ビレッジで行ったテストは、多くの天文ファンを集めて行われた。“星像は端から端までピンポイントだ”と言う天文ファンもいれば、同じ望遠鏡とアイピースの組み合わせでも、視野周辺の“フレア”や“コマ”が気に入らない者もいる。イーソスの視野全域をみることのできるひともいれば、そうでないひともいる。受け取り方の違いは、望遠鏡のF値が小さくなるほど大きくなることも判った。
視野周辺を観るために目をぐるりと回すことになり、周辺の星像は必ずしもピンポイントではないという観測者もいる。このように認められるシャープネスがひとによって異なるのは、観測者が視野周辺を観ようとして頭を動かすことで、自身の瞳の位置と、アイピースの射出瞳とのズレに依存することが多い。このことを、F値が小さいシステムほど瞳の位置がより敏感になることと考えあわせると、ひとは生理学的に多様であるということにより、「ある特定のアイピースで理想的な周辺像を維持しながら、どこまで単焦点化できるか」を確定することは極めて難しい。
複数の観測者のなかでも、比較的一致した意見がある。たとえば、ほとんどの観測者はF3.66の望遠鏡にイーソス21mmを装着したシステムがパーフェクトだと感じた。ところがF3.3のシステムでは、イーソス17mmが最も適したアイピースということになる。
以上、ひとの美的感覚を論じることになったが、ここに真の画期的な発明がある。すなわち、新しいパラコア2は、コマを補正しながらも、コントラスト、分解能、限界倍率がすべて向上するという偉業を成し遂げる。事実、観測者のだれもが最初に指摘するのは、向上したコントラストと、漆黒の背景である。アル・ナグラーの後継者ポール・デレカイは、F値の大きな望遠鏡をも劇的に改善させた。驚くべきことに、新しいパラコアタイプ2が威力を発揮するのは新世代の単焦点ニュートニアンに限らない。初代パラコアのユーザーなら、アップグレードを真剣に検討したくなるはず。