今回、私の30センチF5ニュートニアンを、ファーストクラスレベルの天体撮影システムにしてくれた鍵がビッグパラコアである。表題のグランド渦巻銀河M33は、KAF-16803チップを搭載したCCDカメラに、赤、緑、青のフィルターを使い、40分の露出を掛けた画像。本誌でご紹介する画像はいずれも、仲間のシアン・ウォーカーにより画像処理されている。
これまで、天体撮影用に設計された世界有数の望遠鏡を何台もテストしてきた。“高価であること”がすなわち“良い望遠鏡である”との考えもあろう。セレストロン、ミード、スターウォッチャ、ステラビューなどの最高級品だけでなく、オフィシーナステラ、プラネウェイブ、タカハシ、テレビューなどの製品も使ってきた。ここでご紹介する画像は、そのいずれの望遠鏡で撮ったものではない。それどころか、安価に入手したミード社の30センチ口径ライトブリッジドブソニアンで撮ったものだ。ただ、このドブソニアンにテレビュー社の新製品ビッグパラコア タイプ2コマコレクターを装着するだけで、ご覧のとおり、これまでのテストで得たベスト天体画像とくらべても何の遜色もない画像を撮影できた。
“悪魔は細部に宿る(細かいところにこそ落とし穴がある)”と言われるが、“テレビュー社のビッグパラコアを装着しただけ”で“ご覧のとおり”とはいかない。“望遠鏡にはビッグパラコアを装着するための3インチ接眼部を装着”し、“天体撮影ができるように、望遠鏡を赤道儀に搭載する”という重要な作業が伴う。また、撮影に適した光量を確保するために、より大きな斜鏡にアップグレードした。私の場合、改造のための部品をすべて手作りしたが、市場で入手できる部品も少なくない。望遠鏡のシステムについては後述するが、まずは、かつてドブソニアンだった反射望遠鏡をワールドクラスのアストログラフに変身させてくれたビッグパラコアについて語ろう。