テレビューイーソス 6, 8, 10, 13 & 17mmエリック・ウィルコックス_ASTRONOMY TECHNOLOGY TODAY
はじめてナグラーアイピースで星を観たときのことは今でも忘れない。ナグラーと、それまで使っていたプルーセルの見掛け視界の違いは言うまでもないが、その真価を知るのはF値の小さな望遠鏡を使い始めてからだ。F8の望遠鏡では不満のないプルーセルだったが、F4の望遠鏡を使い始めると、にわかにその先を求めるようになった。なんでも試してみたい癖のある私はほんとうに数多くのアイピースをみてきたが、手元のアイピースケースはいつもテレビューアイピースが占有する。
イーソスは、視野内にとらえた惑星の大きさと形状が視野全域で変わらないように設計されている。Rutten、van Venrooij共著の「Telescope Optics」で解説されている「角倍率」収差を補正することで実現。超広角設計のため直線の糸巻現象はあるが、ナグラー5_31mmやパンオプティック35mmの糸巻現象ほどはない。
イーソスシリーズの特徴を考慮すると、15mmというアイレリーフはとてもよい。メガネを掛けることのない私がイーソスを覗くと、「ブラックアウト」する直前で100度の見掛け視界全域をみわたせる。ナグラー5_31mm同様のゴム見口が装着され、折り返すことでメガネを掛けたユーザーにも使えそうだ。同社のホームページにも記載されているとおり、イーソスシリーズのアイレリーフは15mmに統一。私には快適な長さだ。さらに、乱視補正を可能にするディオプトロクスにも対応している。
こんどはバローレンズとの組合せを検証してみる。バローレンズではないが手持ちのパワーメイト2.5xとイーソスを併せてみたが、まるで一本のアイピースを覗いているような感覚。単に倍率が2.5倍になるだけでまったく問題を感じない。また、イーソスが廉価版のショートバローでも問題なく使えることは驚きである。ケラレもなく、15mmというアイレリーフもあいまって、ショートバローのあらも感じない。ここまでくると、イーソスの設計には文句のつけようがない。
イーソス13mm、10mm、8mm、6mmはいずれも、1 1/4”バレルと2”バレルのいずれかを使うことができる。2インチバレルを使うときは、バレルの固定ネジを外す。暗闇のなかでアイピースを交換するとき、2”-1 1/4”アダプターを探さなくて済むので、個人的には2”バレルの方を使いたい。また、2”バレルの方が接眼部にしっかりと保持でき、アイピース交換でのピント修正も少ない。2”バレルにはアンダーカットが施され、接眼部の締めがあまくても安全だ。他のテレビューアイピース同様、イーソスの造りもすばらしい。
イーソスの10mmと13mmが同焦点で、イーソス17mmと21mmはナグラー5_31mmとほぼ同焦点である。
イーソスはみかけより軽い。収差補正レベルの高さからして、魅惑的なレンズ素材が非球面加工されているのではないかと思う。それぞれのレンジのレンズ枚数は8枚以下らしいが、そのレンズ構成を示す情報はない。いずれにしても、自作の大型ドブソニアンや小口径の屈折望遠鏡にどのイーソスを装着しても、バランスをとりなおす必要がない。重量の差に気をまわすことなく、観望し続けることができた。イーソス13mm、10mm、8mm、6mmはいずれも双眼装置で使用できる。
イーソスのコーティングもすぐれものである。イーソスを少し横からみるとわずかに緑と紫がかった色がうかがえるが、まっすぐ覗けば色は完全に消えてしまう。夜望遠鏡に装着したイーソスからは、散乱光、反射光、ゴーストのいずれも感じられない。手持ちのナグラー5_16mmとイーソス17mm、ナグラー6_9mmとイーソス8、10mmの比較にはたっぷりと時間をとる。イーソスにはナグラーシリーズとは異なるコーティングが施されている情報は得ているので、それを自分自身で比較してみることにする。確かに、イーソスのコーティングはナグラーとは異なる。色にやや鈍感になりつつある私の目でも、恒星はわずかに白っぽくみえるも、恒星の色は容易に識別できる。いきいきとした白と落ち着いた見え方は詳細をかき消すどころか、よりはっきりと識別させてくれる。ある夜、イーソスで観る木星の縞は、ナグラーやその他のアイピースよりもわずかによい。コントラストの低い天体は、イーソスで覗いたときのほうがわずかにきわだつ。イーソス6mmと他社のワイドフィールド6mmを比較したときは、その差に驚く。広角アイピースは惑星観測には向かないという人もいるが、ぜひイーソスをお試しいただきたい。
イーソスを手持ちのアイピースと比較していて気付いたことは、アイピースをイーソスだけでそろえると、アイピースの数をかなり減らせるということだ。イーソスの価格は高いが、6本の代わりに3本で済ますことができればトータルの価格は決して高くない。以前、望遠鏡を1台入手した後、アイピースを6本も買い増したことを思い出す。そのとき、アイピースだけは量より質であることを学習する。「とりあえず」手に入れたプルーセルは後にほとんど使わなくなったからだ。イーソスをそうしたアイピースと比べることができないのはもちろんだが、ナグラーでそろえた場合と比べても、アイピースの本数を確実に少なくできる。
結局、何年も前のことになるが、テレビュー社がはじめてナグラーを発表したときと同様、イーソスの誕生でまたアイピースのハードルが上がることになった。最初に100度の見掛け視界を体験したときはどうしても広すぎる感覚が禁じえず、見掛け視界の狭いアイピースを覗こうとするが、またイーソスを覗きたくなる。どの望遠鏡でも収差補正はほぼ完璧なだけでなく、惑星用アイピースとしても優れものだ。あらたに発売されるイーソス21mmの小さな射出瞳径と広い実視界は、とりわけ光害の夜空で観測を強いられるドブソニアンユーさーには大いに歓迎されよう。超広角の見掛け視界を誇るイーソスを使うことで、広い実視界を保ちながら、より高い倍率で観望することができる。こうした特徴はもとより、イーソスの外観や重量も画期的なメリットである。広角アイピースに興味があれば、単なる広角では表現できない、スーパーワイド、ウルトラワイド、いや「ハイパーウルトラメガワイド」のような新語をあてたくなるイーソスを手にするよう強くお勧めしたい。テレビュー社の言葉を借りれば、「マジェスティファクタ」といってもよい。とにかく、ここで述べたことはすべて「実際に体験したこと」である。
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テレビューイーソス 21mmエリック・ウィルコックス_ASTRONOMY TECHNOLOGY TODAY
私は淡い天体のハンティングが誰よりも好きな熱心な天文ファンの一人だが、低倍率の広角アイピースで夜空を何の目的もなくながして観るのも、お気に入りの観望スタイルだ。なかでも、天体を「発見」した後、その天体が何であるのかを星図で確認するのが何よりも楽しい。天体の等級や大きさを手がかりに、必ずしもその夜観る予定ではない天体を含め、数多くの天体を楽しんでいく。こうして、少し怠け者の罪悪感を抱きながらも、それまで過小評価していた宝石を発見することも少なくない。
あるとき、広視界の2”アイピースが最も良いと思い、テレビューアイピースを手に入れ始めた。いくつもの1 1/4”テレビューアイピースのほかに、パンオプティック35mmを所有することになった。このときは、伝説のナグラー5_31mmという究極のアイピース(別名「ザ・ターミナグラー」)が発売される前のことだ。その当時、パンオプティック35mmは確かに最良の選択肢だったが、私の目も徐々に衰えてきた。手持ちの短焦点ドブソニアン(F4.5、パラコアと併用するとF5.2)では射出瞳径が気になりはじめた。とりわけ、比較的明るい夜空の下、この短焦点ドブソニアンで24〜28mmのアイピースからスタートする。多くの場合、パンオプティック24mmをファインダー代わりに使い、1 1/4”アイピースだけで観望を済ませていた。パンオプティック24mm自体はすばらしいアイピースだが、40センチドブソニアンでは実視界が3/4度しかとれず、「きままな星空散歩」をこよなく楽しむ私には少し物足りない。それも、イーソス21mmの誕生ですべてが変わる。
見掛け視界が広ければ、広い実視界を保ちながらも、倍率を上げることができる。たとえば、見掛け視界100度のイーソスの場合、パラコアを併用した手持ちの40センチドブソニアンで100倍になる。この高い倍率で、このドブソニアンの最も広い視界を実現できる。この実視界を見掛け視界50度のプルーセルで得ようとすると、40mmの2インチアイピースを使うことになる。倍率が52倍になってしまうだけでなく、射出瞳径が7.7mmになり、私のドブソニアンでは使いものにならない。同じドブソニアンで68倍、実視界1.14度、射出瞳径6.0mmという快適さを提供してくれるあのナグラー5_31mmと比べても、イーソス21mmなら、倍率はさらに高く、見掛け視界領域が倍になり、ほぼ同等の実視界、わずか4.0mmの射出瞳径、ということになる。イーソスが非凡かつ革新的なアイピースであることは明らかで、同じ実視界を前提にすれば、どのアイピースと比べても、より高倍率で、より暗い背景をもたらしてくれる。
ここまでは自分自身わくわくした数字を並べてみたが、イーソス21mmで体験した星空について語りたい。まず、イーソス21mmはどの望遠鏡に装着しても、そのすぐれた性能をいかんなく発揮するだけでなく、使いやすいアイピースでもある。重量はわずか1kgなため、他の重量級の2インチアイピースのような重量バランスの問題がない。私のように大きなドブソニアン使いには、重量バランスは常に重要な要素だ。アイピースを取り換えるごとにカウンターウェイトを調節し、高度軸が動いてしまうことを気にかけることなく観望していたいものだ。
イーソスのアイレリーフは私にとって快適な15mmだ。広い視野を覗くために目をアイレンズに押しつける感覚もなく、アイレンズから離れすぎてブラックアウトを起こすこともない。15mmのアイレリーフはちょうどアイガードに触れる長さで、落ち着いて観望することができる。メガネを掛けたひとのために、ナグラー5_31mmやその他のテレビューアイピース同様、折り返し式のソフトアイガードが装着されている。21mmは、他のイーソス同様、コーティングがすばらしく、角度をつけたときにだけ、わずかに紫/緑がかってみえる。イーソスシリーズのコーティングは、旧ナグラーのコーティングとはわずかに異なる。イーソスの場合、やや冷たい感じを受け、白がよりはっきりする。同時に真の恒星色をみせてくれる。冷たい感じはわずかな違いだが、天体がきりりと引き締まって見えることが多い。
視野絞り環の直径は公称36.2mm、実はナグラー5_26mmのそれを上回り、パンオプティック35mmと比べても数ミリ小さいだけ。イーソス21mmは、ナグラー5_31mmおよびイーソス17mmとほぼ同焦点設計。くわえて、他のイーソス同様、テレビューディオプトロクス対応で、乱視に悩むユーザーにも配慮されている。
イーソス21mmは星空観望を満喫させてくれるだけでなく、その外観も楽しめる。他のテレビューアイピース同様、品質と造りはすばらしい。2インチのクロムバレルには接眼部から不用意にずり落ちないようセーフティアンダーカットが施され、アイピースボディを包むラバーグリップのおかげで、手袋をした手でも持ちやすい。また、ボディ形状も持ちにくいほど大きくもない。手の大きな私でも、ナグラー5_31mmを持つときはいつも両手を使うが、イーソス21mmならそんなことはない。
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超広角を高倍率で実現するイーソス...ステファン・ジェームス・オーメイラ
テレビュー社の新型アイピースをフィールドテストする/米国天文誌アストロノミー『機材レビュー』
天の窓 さそり座の球状星団M4(5.6等)からはじめる。M4を導入するため、NP-127で30倍、実視界2.2度を実現するパンオプティック22mmを使う。 パンオプティック22mmでみるM4は、やわらかく丸く広がっている。あかるいが、ぼんやりとした星団の「傷あと」が北から南に走る。視野東端にはオレンジ色のアンターレスが鎮座、北西の等距離にはシグマScorpiiが輝く。 すべての対象が乳白色の星の光を背景に輝き、ところどころ淡い星雲の筋がこするようにみえている。まるで芸術家の筆からかもし出されたかのようである。 アイピースをイーソスに取り替えてみると、にわかにとまどう。視野全域はまったく同じ1.9度なのだが、M4をおよそ倍の倍率でみていることになる。同じ球状星団がこんどは、くっきりとした暗いレーンで囲まれたあざやかな恒星からなる月の大きさになる。中央のあわい「傷あと」は、球状に輝くあわい恒星を背景に、シャープに結像した10〜12等の恒星になってみえてくる。 パンオプティック22mmでは容易に認識できなかった外側を取り巻く光輪の姿も、球状星団M4の中心まわりに、一連の星の光が長く平行に密生し、太い放物線が形成されているのが判る。暗い背景により、M4だけでなくNGC6144の明るさも助長され、星の光で照らされる不規則な終端と、わずかに凝縮されたコアのあるはっきりとした球状星団に変わる。 広視界で拡大された対象の「WOW」係数は、「あわく不明瞭な対象」を観測したいアマチュアならだれもが高く評価する。さらに、イーソスは、とりわけ幅が10′を下回るディープスカイ対象を見つけ出して確認するときも時間の節約になる。 たとえば、白鳥座にある幅27″のまばたき星雲(NGC6826)など。22mmのアイピース(30倍)なら、実際、星の光にしかみえないが、イーソスを装着し倍率を上げることにより、小さく広がるディスクのような星雲であることが判ってくる。 従来のアイピースなら視野外にある対象も、イーソスなら有効視野内に飛び込んできて、比較対照できるメリットを感じる観測者も数多く出てくるだろう。また、コメットハンターにしても、より広い領域を高い倍率でカバーできるため、淡い彗星をとらえるチャンスが高くなる。
たとえば、2007年12月、火星が対衝をむかえたこと、私の口径127mmの屈折望遠鏡では150倍から250倍で、赤い惑星の詳細を十分得ることができる。そこで、イーソスを3倍バローレンズと組み、166倍、満月を超える大きさで快適に観測した。 月観測を好むアマチュアにとって、シャープな詳細を月面いっぱいにとらえるイーソスは、思わぬメリットをもたらしてくれる。月のディスクを三次元の曲線でながめることができる。イーソスで月をのぞくと、月の軌道上から月の丸い地平線をながめているようだ。倍率が低く、視野が狭ければ、こうはいかない。
唯一無二の存在か? それでは、イーソス以外のアイピースが不要になるかというと、決してそんなことはない。惑星やディープスカイ対象を観測するには、166倍を超える倍率が必要になることもある。シーイングがすばらしくよいある夕方、口径1インチにつき75倍まで倍率を上げる。通常の上限は口径1インチにつき50倍だが、実際、明るい惑星状星雲なら1インチにつき100倍まで上げてとらえることもできる。 最後にまた、M4とその周辺の話をしよう。2つの球状星団の比類ないみえ味をもたらしてくれるイーソスだが、限界もある。たとえば、パンオプティック22mmを通してみるM4を包むみごとな天の川などは、倍率を上げるとその醍醐味が損なわれてしまう。
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テレビューイーソス
今度これより広い見掛視界のアイピースを出すときは、テレビュー社にはバックミラーを付けてもらいたいね!...Vic Menard
自らテレビュー社のナグラーやパラコアの唱道者である私は、イーソスを、現代のF値の小さなニュートンと組み合わせたとき、他のアイピースではまねのできないシナジー効果、すなわち、光学性能の向上をみる。 はじめてナグラーアイピースを購入したのが1987年のテキサススターパーティでのこと。オリジナルのナグラー13mmにより、私がそれまで抱いていた広角アイピースの概念は完全に覆された。その2年後、同じテキサススターパーティでは、トム・クラークといっしょに初期のパラコアをためしたが、私の口径490mm F5、トムの613mm F5のドブソニアンではいまひとつ決定的な効果はみいだせない。それか10年後、当時の490mmを売却し、スターマスターの539mm F4を手に入れ、最新のパラコアとナグラー5_31mmとの組み合わせで、究極の「リッチェストフィールド」を堪能する。 この何年かで、私のオリジナルナグラーやナグラータイプ2は、タイプ5とタイプ6に入れ替わり、スターマスター539mmもスターストラクチャー539mmに代わった。そして、2007年4月、Northeast Astronomy Forumでなにやらスペシャルなアイテムが発売されるといううわさを聞く。4月28日、見掛視界100度のイーソス13mmが発表されることになるが、またしても、あの「テレビュー社」から。 同年6月にはテキサススターパーティやRTMCからのフィールドレポートがあがり、数日後には、クラウディナイトのオンライン会議室でレビューを拝見。その後、イーソスの市場価格が決まり、米国中の選ばれし「テスター」達がイーソスを評価。そして、スカイ・アンド・テレスコープ誌はイーソスの光学性能にファイブスター「知覚的に完璧。意味ある改善の余地がない」の称号を与える。そのときはまだイーソスをのぞいてない私だったが、すでに手に入れることを決めていた! 10月10日から14日まで、PSSG(ピーチ・ステート・スター・ゲイズ)に参加。初イベントが、アトランタ州東約90マイルにあるデーリック・アストロノミー・ビレッジで開催。その日はすばらしい夜空に恵まれる。だれかがイーソスを持ってくるといううわさを耳にした私は、ほんの数分でもいいから「イーソスタイム」を体験できないかとその当人を探す。幸い、イーソスオーナーのジョンとクーエンは、私が買ったばかりの口径539mmスターストラクチャードブソニアンに興味を示し、いっしょに何時間も観望を楽しむ。さらによかったのは、双眼装置ファンの両人はイーソスを2本も手に入れていたことだ。みんな疲れ果てるまでイーソスの双眼視に没頭。最も印象に残ったのがM57。ほんとうに自分自身がその星雲のなかに浮遊している感覚、望遠鏡の存在すらすっかり忘れてしまう!帰宅するとすぐにイーソスを注文。少し早いが妻からのクリスマスプレゼントだ。実際はクリスマスに間に合わなかったが、ウインター・スター・パーティの前に入手できだ。 2008年のウインター・スター・パーティでは、地元の天文クラブの一員、ジョンといっしょに過ごす。彼は先のPSSGでも会っているが、私同様、すぐにイーソスを注文していた。PSSGでのイーソス体験を再現したかった二人はマイク・ハービィの口径686mmスターストラクチャーに近づき、すぐにビデオを取り外して、自分たちの所有するイーソス2本を双眼装置につけてみることを促す。この「歴史的体験」を経た私は、この記事を書くことになる。その後、シャーロットの天文クラブの仲間とも、私の口径539mmスターストラクチャーを介し、こんどは単眼ですばらしい夜空を満喫。散光星雲(NGC2467、2359)、銀河(NGC3115、4565、4631、5128、M51、M83)、球状星団(M5、M13、M92、ケンタウルス座オメガ星団)、惑星状星雲(NGC2437、2440、3132、3242)、散開星団の数々、炭素星やカラー二重星を数個、もちろん、土星も見逃すわけにはいかない。ただし、ここウインター・スター・パーティでは、よりシャープネスを追求するため、ナグラー6_7mmで370xの土星を楽しむ。今年の4月に開催されるCAAC主催のサザン・スター・パーティでも、イーソスが話題になることは必至だ。
こんどは、私自身の「イーソスタイム」を振り返りながら、個人的な観測体験をいくつか述べてみよう。
イーソスについてはあまりにもエモーショナルな表現をしてきたので、より冷静かつ、客観的にコメントする必要があるが、正直言ってその自信はない。イーソスの見掛視界100度と、驚くべきヌケのよさ、ピンポイントに結ぶ星像があいまってもたらす、そこに引き込まれるような体験は、望遠鏡にIMAXを突っ込んだようなもの。簡単にいえば、比較するものがない。実際にのぞいてみないと、その違いはとても想像できない。アル・ナグラーはそれを「マジェスティ係数」と称し、私は「テレビュー・アドバンテージ」と呼びたいが、時が経つにつれ評価は高まるばかりだ。 次に、イーソスのアイレリーフ(15mm)と、視野全域を見ることができるかどうか、について述べたい。PSSG(ピーチ・ステート・スター・ゲイズ)でイーソスを最初に体験したときは、ナグラーの見掛視界である82度くらいから先はまだ覗けていなかった。ところが、瞳の位置を完全に合わせたとき、イーソスの視野終端でシャープに結像する星をはっきりと確認する。いままで、自分の望遠鏡の視野の一部しか見ていなかったことが分かる。さらに、視野全域で星像がみごとに分解しているため、十分な詳細を視野全域でくまなく厳しい目で評価することができる。ウインター・スター・パーティでは、マイクといっしょに、ナグラー20mmとイーソス13mmを比較してみて驚いたことがある。両者の実視界は0.1度しか差がないのに、イーソスの倍率は2倍だ! 詳細とコントラストの向上は明らか、マイクと私はそのすごさの前に圧倒された。 最後に、イーソスを2本手にいれて双眼装置で楽しむこともできる。あまり明るくない対象を観るとき、口径をできるだけ大きくして双眼視を試してみたい。私の539mmの場合、光がまるで望遠鏡からあふれ出ているよう。マイクの686mmなら、イーソス+双眼装置のコンビネーションをさらに余裕で楽しめる。ここでひとつ「警告」しておきたいことがある。この双眼+イーソス体験は、視野周辺が既存の領域を超えどんどん広がり、本当に望遠鏡が消えてなくなるような感覚に陥ってしまう。いちどみたら絶対に手放せなくなる。忘れえぬ体験になるだろう!
より広い見掛け視界(ディープスカイをより詳細にとらえるため)を、より小さな射出瞳径(より暗い背景で、より淡い恒星をとらえるため)と合わせ得ることのできる劇的な効果を表す係数として、「マジェスティ係数」を提唱します。具体的には、見掛け視界は異なるが、絞環の径が同じ(すなわち実視界が同じ)任意のアイピース2個比の三乗を「マジェスティ係数」と定義します...アル・ナグラー 例) (100°/70°)3 = 2.92 "M.F." or (70°/50°)3 = 2.74 "M.F." or (100°/50°)3 = 8 "M.F."
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イーソス アイピース
スカイ・アンド・テレスコープ、テストレポート ――― Dennis di Cicco 3桁の視界
ディープスカイ観望を変えるテレビュー社の新しい13mm まもなく、テレビュー社から、極めて広い見掛け視界100°のイーソス13mmが登場。他の天体用アイピースとくらべても、直径で20%上回り、視野領域は50%広い。光学の世界で、このような驚くべき偉業を成し遂げたのがイーソスである。 テレビュー社はすでに、ニューヨーク、テキサス、カリフォルニア、インディアナのアマチュアには、イーソスのプリプロダクションモデルを披露。体験した多くのアマチュアに好評を博したイーソスは、その後の設計変更なく、10月の発売に向けて生産に入る。弊誌には、最初に作られたイーソスが貸与された。生産モデルとの違いは、バレル面の彫刻と形状だけ。
1981年当時、前例のない見かけ視界82°を誇る初代ナグラー13mmは、その名を世界にとどろかせた。かつてアル・ナグラーはより広い視界の設計を手がけてみたこともあるが、このアプローチが現社長であり、アル・ナグラーの長男デビッドにより再度行われたのはごく最近のこと。デビッドによれば、「イーソスの光学設計は、永年テレビュー社に勤めるポール・デレカイの才能と融合」、「テレビュー社の名にふさわしい見掛け視界100°のアイピース」とのこと。 アル・ナグラー、デビッドとも、イーソスのレンズ構成については何も語らない。しばらくは、イーソスを覗いた人に評価してもらいたいそうだ。 大きさの割には軽いイーソスを手にすれば、内部のエアースペースが大きいことがわかる。実際、イーソスの重量590gは、テレビュー社の現行ラインナップのなかで6番目だ。
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米国アマチュアサイト「クラウディーナイト」より
2007年、2万人のリーダーズチョイス
いま天文の世界では、テレビュー社のイーソスのことを知らないひとはいないといってもよい。この新型アイピース「イーソス 13mm」は見掛け視界が三桁の100°というだけでなく、その視野は驚くほどフラット、かつ、収差もとてもよく補正されている。率直に言って、この数字が誇大広告のたぐいでないことは明らか。見かけ視界は同社のナグラーシリーズより18°広いだけであるが、視野領域はナグラー13mmと比べても50%広く、これがわたしたちを新たな次元に導いてくれる。82°でも少しもかまわないと思うかもしれないが、「百聞は一見にしかず」、星祭などでイーソスを体験してみることをお勧めする。テレビュー社に栄光あれ! |
SkyNews製品レビュー by Todd Carlson
広視界アイピースのブレークスルー
視界は広いほうがよいか。ことアイピースに関しては「イエス」、ただし、視野全体でシャープに結像していればの話。ここでは、テレビュー社のイーソスがその設計にたがわぬ性能に達しているかどうかをテストした。
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眼前に広がる宇宙...東京都 松谷様
10月5日 テレビューイーソス13mmを入手した後初めての晴天に恵まれ、さっそく奥秩父に出かけた。いつもの観望地に到着してすぐにテレビューNP101にイーソス13mmをセット、アンドロメダ大星雲をファーストライトの対象に選ぶ。続いてM33、網状星雲、M29、NGC6946と6939の系外星雲と散開星団のペア、30・31・32Cygを含む星野、北アメリカ星雲、そこからM39を経由してケフェウス・とかげ境界付近に至る銀河(天の川)、ガーネットスター、δCep、カシオペア座の散開星団9個、ニ重星団、St2、M34、NGC891、NGC253、NGC288、NGC247、M74、M77を観望。ここで少し倍率を上げてみたくなり、NP101と並べて組み立ててあったビクセンED115Sにイーソス13mmをセット。68倍にしてM74、M77とその周辺の小さな系外星雲5個、NGC254・288・247、M33、NGC891を再度観望。そしてNP101では見ていなかったNGC7662(青い雪玉)、NGC7640、M76を観望した。 イーソス13mmの見かけ視界100°の視野は、「覗いている」という感覚が全くない。目の前すべてが星空である。そして見え味はシャープネス、コントラストともに広角化の影響を全く受けていない。さらに、NP101との組み合わせでは、星はほとんどピンポイントのまま視野から去っていく。ビクセンED115Sだと視界最周辺部でわずかに星像が肥大するが、これは注意をして見ないと気がつかない程度である。 NP101との組み合わせで42倍、これは10cmとしてはコントラストが上がり微光星や星の色や星雲の濃淡が見やすくなる倍率である。それで実視界が2°を超えるのだから、S&T誌のリポートで30cmドブソニアンに使用してスターホッピングと詳細観察の両方をこなすと評されたのも十分に頷ける。 この夜は、望遠鏡のアイピースを取り替えていろいろな倍率で見るのではなく、アイピースはイーソス13mm1個で、鏡筒のほうを2台使って星空を楽しむという、40年星を見てきて初めてのことを行うことになった。 10月6日 新潟県魚沼に行った。この夜も前夜と同じく鏡筒はNP101とビクセンED115Sの2台を組み立てた。魚沼地方の空は奥秩父よりさらに1ランク上で秋から初冬の対象を堪能することができた。 まずED115Sにナグラーズーム2〜4mmをセットして、天王星・海王星を楽しんだ。イーソス13mmのリポートを書いているが、NP101とビクセンED115Sとナグラーズーム2〜4mmの光学性能のすばらしさも付記しておきたい。 その後は前夜と同じようにイーソス13mmをNP101とED115Sに交互にセットして星雲星団を楽しんだ。観望対象は、観望時間が前夜より1時間ほど後にシフトしたので、前夜見た対象のうちで夏から初秋のエリアのものは除外。反対に前夜見ずにこの夜に見たのは、天王星・海王星の他にはNGC7293(らせん星雲)、ペルセウス座の散開星団3個、IC342、IC356、NGC752、プレアデス、M35、NGC2158、オリオン大星雲とその周辺の星雲星団と重星、火星、NP101とナグラー5・31mmの組み合わせによるカリフォルニア星雲だった。 接近したM35と火星もこの夜の見ものだった。4日に最も近づいていたM35と火星は、この夜にはすでに2°ほど離れていたが、イーソス13mmをセットした NP101では火星の形がわかる倍率で両方が同一視野に入り実に面白い眺めだった。もちろんM35の傍らにある小さな散開星団NGC2158もよく見えた。たとえイーソス13mmと同じ焦点距離と見かけ視界のアイピースがあったとしても、周辺像の悪化が極小のこのテレビュー同士の組み合わせでなければ、火星の形は崩れてしまってM35も星雲状にぼやけてしまうだろう。 今回は観望時間は2夜合わせて4時間半と短かったが、好天と良好な空に恵まれて、イーソス13mmのすばらしさを十分に体感することができた。 10月11日 日付が12日になってから、富士山にてNP101とイーソス13mmの組み合わせで観望した。前2夜で見た秋の対象をまた楽しんだ後、この組み合わせでは初となる冬から早春の対象、オリオン大星雲とその付近の星雲星団、NGC2024、M78、M79、M41、プレセペ星団、NGC2672-3、M67、M81・82、NGC3077、NGC2976、重星のιOri、δOri、σOriを楽しんだ。 オリオン大星雲の南端には、小三つ星で言うと一番下の星にあたるι星がある。この星は美しい青色の伴星を持っている。NP101+イーソス13mmだと、小三つ星のすぐ北にある散開星団NGC1981から、散光星雲NGC1977、オリオン大星雲、そしてこのι星までを同一視野におさめることができる。周辺像の悪化がないために、視野の端にあるι星のかすかな伴星もはっきりと見える。そして、42倍という10cmでのオリオン大星雲観望としては高めの倍率は、星雲の濃淡のコントラストをくっきりと浮き上がらせる。 散光星雲NGC2024と色の対比が美しい四重星σOriも同一視野に入り、かつ、2024の“燃える木”あるいは“葉っぱ”と呼ばれる様子も、10cmでは良好な光学系でないと難物であるσOriの4星の中で最も暗い星も、高めの倍率と良好な周辺像のおかげでよく見える。 プレセペ星団は、星団を構成する星々の色がわかりやすい倍率で、星団全体がちょうど視野内におさまる。その近くにある小さく暗い系外星雲NGC2672-3も高めの倍率のためによく見える。 M81・82も、二つが同一視野に楽におさまるだけでなく、81の渦巻きの回転方向と82が不規則型であることが双方とも視野の中心にはないにもかかわらずよくわかった。
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栃木県宇都宮市 YK様
Ethos13mmについて非常に主観的ではありますが、報告します。 昭和機械製作所の35cmF4ニュートンではパラコアをつけた状態でほぼ周辺まで点像になります。ただし、フォーカスを合わせるためにはアイピースにバレルエクステンダーが必要でした。タカハシのε180(F2.8)はそのままで視野の端まで点像になります(取付にはバックフォーカスの工夫が必要)。驚きました。凄く相性が良いようです。 |